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お茶の香りの科学
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お茶の香りは芳香と火入れの香りがあります。一般的にいって日本緑茶の香りは烏龍茶や紅茶にくらべて少ないです。それは香りの成分がおもに発酵するときに作られるからです。
右の表は、主な緑茶の香気成分です。
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・茶の葉の種類
お茶の芳香成分の元は、モノテルペン アルコールです。このアルコールは茶の木の生育中にたくわえられたグルコサイドからできます。お茶の葉の中のモノテルペンアルコール特にリナロオールとゲラニオールの含有量がお茶の芳香を決めます。
テルペン指標と呼ばれるこれらのアルコールの割合(リナロオール/(リナロオール+ゲラニオール)で香りによって緑茶の葉の違いを見ることができます。それぞれ緑茶の葉ののテルペン指標の表は次の通りです。
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・茶の葉の栽培(日に照らされて育つかどうか)
煎茶は日に照らされて育ちますが玉露と抹茶は覆いをかぶされて育ちます。覆いにかぶされて育った玉露と抹茶は独特の甘いにおいがします。玉露のにおいは日陰でそだったて茶葉の木に蓄えられたSメチルメチオニン(アミノ酸)の温度分解によるジメチルスルフィドによってもたらされます。緑茶のジメチルスルフィドとSメチルメチオニンの含有量の表は、右の通りです。
また反対に煎茶の新鮮な香りZ3ヘクセニーヘクセノーテ、ゲラニオール、リナロオールは玉露や抹茶では少ないです。これが煎茶の新鮮な芳香と玉露と抹茶独特の甘い香りの違いです。
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・緑茶の新鮮な緑の香りは緑茶の典型的な匂い
これはZ3へクセノール、エステル、E2ヘクセナルからきます。これらの物質はお茶の葉の脂質の酸化分解によって作られます。Z3ヘクセニルヘクサノーテ、Z3ヘクセニルE2ヘクセノーテとZ3ヘクセノールが緑茶の含有量が緑茶の新鮮な香りを決めます、そしてリナロオールとゲラニオールが芳香に貢献します。これらの成分は上級煎茶ほど多く含まれているので一番茶の上級煎茶ほど香りが良いです。摘む時期が早いほど上級煎茶になります。その時期と芳香成分含有量は右の通りです。
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・火入れの香り
緑茶は製茶されてから火入れ(乾燥)されるので火入れの香りがします。火入れの香りのもとの物質はピロールとピラジンです。これらの物質は火入れ(乾燥)のときにお茶の葉の中のアミノ酸と糖分からできます。最も重要な火入れのにおいのもとの物質は2,5ディメチルピラジンと1エチルピロール2アルデヒドです。これらはLアルギニンとDグルコーズトLテアニン、Dキシローズから作られます。火入れの良い茶の葉はアミノ酸を多く含んだ葉からえられます。お茶の成分の火入れの効果の表は右の通りです。
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※お知らせ
北海道大学理学研究科の河合様からご忠告があり、「茶の葉の栽培、玉露の香り」の所でジメチル硫酸とところで"TEA
Culutivation to connsumption"(K.C.Willson and M.N.Clifford)
からdymetylsulphide からジメチル硫酸と訳し掲載していたのですが、どうやら正確ではないためジメチルスルフィドと全てカタカナで表記することにしました。
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